あれは、私が小学校5年生位の時のこと。
私は雛人形を、持っていませんでした。
4人の子供に祖父母、とてもそんな余裕が無かったのです。
子供心にそれは分かっていました。
でもある日ちょっとお金持ちなクラスメイトに
「私の家には、7段飾りの立派なお雛様があるのよ。
あなたの家にはお雛様無いでしょう?」
と言われ、とても悔しくなり家に帰ってから母に
「私もお雛様欲しい・・」
とねだってしまいました。困った母はしばらく考えて、
「そうだ!おばあちゃんの家(母の実家)にあるかも」
それを聞いた私は
「じゃあ、探して来る!」
と急いで母の実家へ行き一人で物置や押入れ、古い納戸を探しました。
そして、ついに年代物の雛人形を発見したのです!
それは伯母の物でかなり古かったのですが、
私の目には美しく映りました。
それから見つかったことを母に報告し、二人で飾りました。
初めての雛人形でとても嬉しかった私、
そして同じ位喜んでいた母。
思えば、母も雛人形を持っておらず、
やはり欲しかったのでしょう。
あれから、随分長い年月が経ちましたが
母は、自分の娘には買ってやれなかった雛人形を
私の娘のために買ってくれました。
時代は流れても女の子にとって
やはり、雛人形は憧れの存在だと思います。
娘本人よりも、母親とおばあちゃんの方が
喜んでいるそんな我が家のひな祭りでした。
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